Tuesday, March 9
Shadow

【新型コロナ】糖尿病の人が「かくれ脱水」を予防するために 「冬便秘」を改善する3つの方法とは|ニュース – 糖尿病ネットワーク

 気温が低下し湿度が低くなる冬は、便秘の傾向になる人が増える。
 便秘の原因はさまざまですが、そのひとつは「かくれ脱水」だ。
 便秘によって腸内細菌のバランスが悪化すると、免疫にも影響するおそれがある。
 「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、「冬便秘」を改善するために、3つの方法を紹介している。
 糖尿病の人にとっても、脱水が危険である場合がある。

糖尿病の人は脱水を予防するために、適度な水分補給を

 糖尿病でも、血糖コントロールがかなり悪い患者や、高齢者、降圧薬の利尿剤を併用している患者では、脱水が起こりやすいことが知られている。

 糖尿病の治療薬のSGLT2阻害薬は、過剰なグルコースを尿中に排出することにより血糖値を下げる薬剤。

 しかし、この薬には排泄される尿量(水分量)が増加する利尿作用もあり、体液量の減少にともない脱水が起こることがある。

 そのため、医師から水分摂取の制限をとくに指示されていなければ、このタイプの薬を服用している人は、適度な水分補給を行うことが必要だ。

 また、メトホルミンなどのビグアナイド薬は、主に肝臓に作用し、インスリンの働きを良くする薬だが、脱水になると乳酸アシドーシスという副作用が起きやすくなるため、注意が必要となる。

 脱水により、患者によっては、脳梗塞を含む血栓・塞栓症などが起こるリスクも上昇する。たかが脱水と軽くみないで、適度な水分補給をすることが大切だ。

 口渇、多尿、頻尿、血圧の低下などの症状がある場合は、脱水が疑われる。薬を飲んでいる患者でそうした症状がある場合は、すぐに主治医に相談した方が良い場合がある。

 風邪やインフルエンザなどの感染症にかかり、発熱や下痢などがあるときにも、脱水状態になりやすい。脱水の予防法や、脱水が起きたときの対処法を、事前に医師に相談しておくと安心できる。

参考:日本糖尿病学会編「糖尿病診療ガイドライン2019」、2019年

低温・低湿度の冬は「かくれ脱水」になりやすい

 熱中症や脱水の危険性について警鐘を鳴らす活動をしている「
教えて!『かくれ脱水』委員会」(委員長:服部益治・医療福祉センターさくら院長、兵庫医科大学特別招聘教授)によると、気温が低下し、湿度が低くなる冬は、便秘傾向になる方が増えるという。医学的には便秘の原因はさまざまだが、そのひとつは『かくれ脱水』だ。

 腸が正常に便を作り、排便するには、(1)便自体に十分な水分が含まれていること、(2)腸管が機能するために十分な血液が行きわたっていることが重要だが、冬は、人によってはこの条件を満たさないことがあり、便秘傾向になりやすいという。

 「この冬は例年に比べて、インフルエンザやロタウイルスやノロウイルスなどの感染性胃腸炎の流行が少なくなると予想されています。しかし、別の脱水リスクが高まります。マスク着用による喉の渇きへの鈍化、行動自粛から筋肉量の低下など、コロナ禍の中で新たな脱水弱者を増やしているのです」としている。

「冬便秘」になっていないかをチェック

 「冬便秘」にはさまざまな要因があるが、下記のいずれかに心当たりがある人は注意が必要だ。

□ 生活が不規則である

□ 朝ご飯を抜きがち

□ お腹を冷やしてしまっている

□ 夏に比べて水分摂取頻度や量が減っている

□ 食べる量が少ない

□ 野菜・フルーツを食べていない

□ ヨーグルトやチーズなど乳加工品を食べる習慣がない

□ キノコや海藻を食べていない

出典:教えて!「かくれ脱水」委員会、2020年

コロナ禍の今年は「冬便秘」に注意

 「とくに新型コロナウイルス感染症が拡大している今、この”かくれ脱水”からくる冬の便秘を軽視するべきではありません」と、同委員会副委員長の谷口英喜先生(済生会横浜市東部病院患者支援センター長、周術期支援センター長栄養部部長)は語っている。

 コロナ禍の今年は「冬便秘」が起こりやすいという。その原因は――。

(1) 長い自粛期間で筋力が衰えている

 力が低下しており、排便するための腹筋が衰えてしまっていることが挙げられます。また、筋肉は水分を貯蔵するもっとも大きい臓器でもあるため、多くの人が身体に水分を保持しづらくなり、「かくれ脱水」に陥っている可能性があります。

(2) マスク着用で喉が渇きづらく、夏に比べますます水分を摂らなくなる

 冬は夏に比べて汗をかきませんが、「不感蒸泄」(呼気や皮膚などから体温調節のために自然に水分が蒸発すること)は夏同様行われています。
しかし、目立って水分喪失をしていると意識する瞬間が少なく、また今年はマスクをしていることで喉が湿っていることから喉が渇いたという自覚がますます生まれづらく、水分摂取の頻度や量が減る傾向にあります。

(3) 未曾有の感染症流行や不慣れな自粛生活による心理的不安

 まだまだ収束する気配のない新型コロナウイルス感染流行や、今後の生活に対する不安など、目に見えない精神的なストレスが腸管をコントロールしている自律神経に及ぶ影響も、少なからず便秘傾向の一因となりうるはずです。

感染症流行時の便秘を放置するのが危険な理由

 谷口先生は、なぜ便秘を放置するのが危険なのかを、次のように説明している。

 便秘によって不要な内容物(便)が長時間腸内にとどまっていると、腸内細菌のバランスを悪化させ、免疫バランスの崩れを引き起こすリスクがあります。

 医学の世界では、免疫機能を維持する目的で早期から点滴だけではなく、腸を使った栄養補給を積極的に行います。交通事故や、大手術の後でもできるだけ早期に腸を使うことが経過を改善させる策と言われています。その理由は、体内の免疫細胞の約7割が小腸にあるためです。

 便秘になると、腸内に滞留した便が過剰に醗酵・腐敗して、腸内の悪玉菌が増え、免疫機能が正常に働くことを妨げてしまう危険性があります。

 また、高齢者では便秘が長期化して便が腸を閉塞させて腸閉塞を起こし手術が必要になる患者もみられます。

 免疫バランスを万全に整えておくべき今年はとくに、「冬便秘」を解消しておきましょう。

便と腸内環境の改善のカギは、「水分」「食物繊維」「乳酸菌」

 便秘を引き起こす要因は、▼不規則な食事・生活、▼水分・食物繊維・脂質などの摂取不足、▼低栄養、▼緊張・恐怖・悲しみなどの精神的要因、▼神経障害、▼職業性(便意があっても排便するタイミングを逸してしまうなど)、▼便意を抑制する習慣などだ。

 日本人で、便秘が常習化している人の3分の2は、大腸を動かす筋肉が緩み、蠕動(ぜんどう)運動がうまく働かないことによる「弛緩性便秘」だという。

 腸管にある内容物を、スムーズに体外へ出すためには腸内環境を整え、かつ、ある程度の水分が便に含まれている状態をつくることが重要だ。

 便と腸内環境の改善のカギは、「水分」「食物繊維」「乳酸菌」だと、谷口英喜先生は言う。

水分を摂る

 就寝中は脱水しているので朝起きてまずコップ1杯、その後も、朝食時、昼食時、3時のおやつ時、夕食時、お風呂に入る前(お風呂でも脱水します)、就寝前と、少なくともコップ1杯の水を飲むようにしましょう。

 冷たい水のほうが腸を刺激するイメージもありますが、腸に到達する頃には体温で温まっていることも多いので、飲みやすい温度のものでいいでしょう。

 あまり頻繁に水分補給ができない、忘れてしまうという人は、経口補水液を取り入れることで脱水状態が改善され、便秘が改善される場合も考えられます。

食物繊維を摂る

 食物繊維が必要な理由には、便の量(カサ)を増してきちんと排出すること、腸内環境を整え免疫細胞などの働きを助ける善玉菌のエサを与えることが挙げられます。

便のカサを増やす食物繊維 不溶性食物繊維(水で溶けない食物繊維)が多い
【食品の例】 ごぼうや大根など根菜類、大豆、枝豆など豆類、きのこ類、おから、玄米などの穀類や雑穀  など
善玉菌のエサになる食物繊維 水溶性食物繊維(水で溶ける食物繊維)が多い
【食品の例】 わかめ、めかぶなどの藻類、こんにゃく、山いもなどいも類、オクラ、モロヘイヤなどのネバネバ野菜など、フルーツ など

乳酸菌を摂る

 水分や食物繊維の摂取量を増やすだけでなく、正常に栄養素を吸収できる腸内環境を作るためには善玉菌のエサとなる菌を補充することも有効です。発酵食品から積極的に乳酸菌を取り入れるような食生活を。

【食品の例】 ヨーグルトやチーズを毎日食べる、納豆、キムチ、ぬか漬け、調味料は味噌、醤油や酢 など

 「教えて!『かくれ脱水』委員会では、「新しい生活習慣」の中での脱水と体の関係、感染性胃腸炎やインフルエンザからの脱水の危険性と正しい対処法など、この冬の脱水に備える、役立つ情報をホームページなどで紹介している。

糖尿病診療ガイドライン2019(Mindsガイドラインライブラリ)

Gastroparesis and Nutrition: The Art(Practical Gastroenterology 2011年9月)

[ Terahata ]

食事療法の関連記事

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *